静かに語り合い、個人に語りかけることのできる葬儀が「お別れ」にふさわしいのではないでしょうか

妻の両親の葬儀をし、私の祖母と父の葬儀も経験してきました。そんな中で葬儀の形式についても様々な事を考えさせられました。

妻の父の葬儀の時は、親戚が多いという事情や、私達夫婦にとって初めて行う争議だったので、ごく普通の葬儀を行いました。たくさんの参列者の方々や親類縁者が来られていました。そんな中、葬儀会社との相談はもっぱら私がすることとなってしまいました。

戒名をつけてもらうのに決まった金額があることや、ちょっと立派な戒名にしてもらうと金額が上がるというようなことも初めて聞き、それを親類の方々に報告して「どっちで行くかを相談したうえでまた、葬儀会社に連絡しに行くといったようなことがあれこれと続き、初めての経験に「失敗はしないか」と、ドキドキしながら仕事をしていたことを思い出します。

妻の母親や私の祖母、父に関してはもうたくさんの人を呼ぶのはやめて「家族葬」と言う形をとりました。自分の家かお寺の広間を借りて、家族と本当に仲の良かった人数人だけに来ていただいて、葬儀を行いました。

私事ですが、父は教育関係の仕事をしており、役所にもたくさんの知り合いが居たような人でした。もし、普通の葬儀をしていたら、びっくりするくらいの人が参列しに来てくれたかもしれません。

しかし、家族葬という事で本当に静かな葬儀ができましたし、一晩父の遺体のそばで母親や妻や子供たちと話をゆっくりすることができました。父の顔も何度も見に行くことができたのも「家族葬」と言う形にしたおかげだと思っています。

葬儀と言うのはその忙しさの中でついつい、亡くなった人への想いや悲しみを忘れてしまうものです。そして気づいたら、みんないなくなって空疎な時間だけが残っているという感じがしました。それに比べて「家族葬」と言う葬儀は、こじんまりとはしていますが、本当に故人とゆっくりお別れする時間があり、周りのお客さんに気を使わずにゆったりと「お別れ」をすることができたような気がします。

どちらがいいのかは個人の好みだとは思いますが、どちらの形も経験したものとしては、やはりあわただしい葬儀よりも、静かにゆっくり話をしたり語り合ったりしながらお別れができる形がいいと思っています。


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